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  • ひな人形の飾り方と並べ方完全ガイド|段数・左右・飾る場所の決まりとは?

    1. ひな人形の基本構成と込められた願い(Meaning)

    ひな人形は、平安時代の豪華絢爛な宮中の結婚式を模した姿と言われています。段飾りにはそれぞれ役割があり、社会の秩序や家族の調和を象徴しています。

    各段の役割と意味

    • 一段目:男雛(おびな)・女雛(めびな)
      天皇と皇后を表す、最も身分の高い一対です。二人で「円満な夫婦」を象徴しています。
    • 二段目:三人官女(さんにんかんじょ)
      お内裏様のお世話をする侍女。左右の二人は立ち姿、真ん中の官女は座り姿(既婚を表す眉なし)なのが伝統的です。
    • 三段目:五人囃子(ごにんばやし)
      能楽を奏でる少年たち。向かって左から太鼓、大鼓、小鼓、笛、謡(うたい)の順で、右に行くほど音が小さくなるよう並べるのが一般的です。
    • 四段目:随身(ずいしん)
      「右大臣」「左大臣」と呼ばれる警護役。向かって右が年配の左大臣、左が若者の右大臣です。
    • 五段目:仕丁(しちょう)
      宮中の雑用係。泣き、笑い、怒りの表情をしており「表情豊かな人間に育つように」との願いが込められています。
    • 六・七段目:道具類
      御所車やタンスなどの嫁入り道具。生活の繁栄と幸福を象徴する品々です。

    2. 男雛と女雛の左右の並び方:地域による違い(Rules)

    ひな人形を飾る際、最も迷いやすいのが最上段の並びです。これはどちらが間違いということはなく、時代背景や地域の文化に基づいています。

    関東風(現代のスタンダード)

    【向かって左に男雛、右に女雛】
    現在の日本で最も一般的な飾り方です。明治時代以降、西洋の「左上位(レディファーストの逆で、向かって左が上位)」というマナーに皇室が合わせられたことから、関東を中心にこの並びが定着しました。

    関西風(京都などの伝統スタイル)

    【向かって右に男雛、左に女雛】
    古くからの日本伝統「左上(さじょう)」に基づいた並べ方です。平安時代の宮中では、太陽が昇る東側(向かって右)が上位とされていたため、京都などの伝統を重んじる地域では今もこの形が守られています。

    アドバイス: 基本的には、お人形を購入した際の説明書や、お住まいの地域の慣習に合わせれば問題ありません。大切なのは「敬う心」です。


    3. 七段飾りの具体的な飾り順とコツ(Step-by-Step)

    豪華な七段飾りをスムーズに、かつ美しく飾るための手順を紹介します。

    効率的な設置手順

    1. 上から順に並べる: 誤って袖や道具を引っ掛けないよう、最上段から置いていくのが鉄則です。
    2. お道具を先に配置: 段の奥にある屏風やお道具を先にセットしてから、お人形を置くと手がぶつかりません。
    3. 小道具の持たせ方: 杓(しゃく)や檜扇(ひおうぎ)など、細かい小道具は最後に取り付けます。
    段数 配置する人形・道具 並べ方のポイント
    一段目 親王(男雛・女雛)、金屏風 二人の間に桃の花を添えるとより華やかに
    二段目 三人官女、高坏(たかつき) 三人の間隔を均等にし、立ち姿・座り姿を正しく配置
    三段目 五人囃子 楽器の大きさが左から順に小さくなるように
    四段目 随身(右大臣・左大臣)、菱台 年配の左大臣を「向かって右」に置くのが伝統

    4. 飾る場所と方角:2026年の住宅事情に合わせて(Location)

    「床の間がない」「マンションで場所が限られる」といった現代の住環境でも、ポイントを抑えれば縁起良く飾ることができます。

    • 理想の方角: 古くからの習わしでは「南向き」または「東向き」が良いとされます。これは太陽の光を受け、明るく清浄な空気が保たれる方向だからです。
    • 避けるべき場所:
      * 直射日光: 人形の顔や衣装が色褪せてしまうため、窓際は避けましょう。
      * エアコンの直風: 極度な乾燥は木製パーツや生地の傷みを早めます。
      * 湿気の多い場所: 台所の近くや加湿器のそばは、カビの原因になります。
    • 2026年のトレンド: リビングのサイドボード上や、玄関のニッチを利用したコンパクトな「親王飾り(二人だけの飾り)」も非常に人気です。清潔で、家族の目が届きやすい場所が最高の舞台となります。

    5. 時期に関するマナー:いつ出し、いつ片付ける?(Timing)

    ひな人形を飾る時期は「二十四節気」を目安にすると、季節の移ろいを感じながら縁起を担ぐことができます。

    • 飾る時期:2月4日(立春)〜2月中旬
      節分で豆まきをして邪気を払った翌日の立春が、最も適した時期と言われています。遅くともひな祭りの1週間前には飾り終えましょう。
    • 片付ける時期:3月4日〜3月中旬
      「片付けが遅れるとお嫁に行くのが遅れる」という言い伝えがありますが、これは「片付けもできないようでは、きちんとした大人になれない」という教育的な意味が強いものです。
      【2026年の注意点】 3月3日を過ぎた後の「最初の日が晴れた日」に片付けるのが理想です。雨の日に片付けると湿気が人形に残り、翌年のカビの原因になります。

    6. ひな人形を飾るときのFAQ

    Q1:人形を素手で触ってもいいですか?
    A1: 厳禁です。手の脂や汗がお人形の顔(胡粉)に付くと、数年後にシミとなって浮き出てしまいます。必ず白い手袋を着用するか、ハンカチ越しに持ちましょう。

    Q2:中古や「お下がり」のひな人形は良くないですか?
    A2: 本来、ひな人形は「子供の身代わり」として厄を引き受けるものなので、一人ひとりに新しいものを用意するのが望ましいとされています。しかし、代々受け継がれてきた「家族の想い」も大切です。受け継ぐ場合は、大切に手入れをして飾ることで、家族の絆を深めることができます。

    Q3:飾る方角がどうしても北向きになってしまいます。
    A3: 方角よりも「大切に扱う心」の方が重要です。北向きでも清潔で、直射日光が当たらない安全な場所であれば問題ありません。明るい色の敷物を敷くなどして、空間を明るく演出してみましょう。


    まとめ:ひな人形を飾ることは、未来への祈り

    ひな人形を飾る行為は、単なるインテリアの配置ではありません。そこには、何百年も前から変わらない「わが子が健やかに育ち、幸せな人生を歩んでほしい」という家族の切実な祈りが込められています。

    2026年のひな祭りは、並べ方の基本を抑えつつも、家族みんなで「あぁでもない、こうでもない」と相談しながら飾り付けを楽しんでみてはいかがでしょうか。その温かなコミュニケーションこそが、お子様の心に一生残る「春の思い出」になるはずです。