秋を走る鉄道がつなぐ「光と彩りの旅」
秋が深まると、日本列島は紅や金のグラデーションに包まれ、山や渓谷が燃えるように色づくこの季節、鉄道の車窓から眺める風景は格別となります。
最近では、日中の紅葉だけでなく、ライトアップされた夜の風景を走る「紅葉列車」「夜景列車」も登場し、幻想的な旅が人気を集めています。
嵯峨野トロッコ列車(京都)― 古都を染める紅と金
京都・嵯峨野を走る「嵯峨野トロッコ列車」は、秋の風物詩として知られる観光列車です。
保津峡の渓谷沿いを走る約7kmの道のりでは、紅葉が車窓いっぱいに広がり、川面に映る色彩がまるで油絵のようで、
夜には特別運行のライトアップ列車が走り、浮かび上がる紅葉が幻想的な世界を演出します。
只見線(福島)― 静寂の中を進む「日本の原風景」
「世界で最も美しい鉄道」と評されるJR只見線は、福島から新潟へと続く秘境の路線です。
車窓に広がるのは、黄金色のブナ林と澄んだ渓流。中でも「第一只見川橋梁」を渡る瞬間は、息をのむ絶景として有名で
エンジン音が静かに山あいに響く時間は、まるで日常を離れた“静寂の旅”そのものです。
箱根登山鉄道(神奈川)― スイッチバックで登る紅葉の回廊
首都圏から日帰りで楽しめる紅葉列車といえば急勾配をスイッチバックで登るたびに視界が変わり、標高とともに紅葉の色も深まるのを鑑賞できる「箱根登山鉄道」です。
特に大平台〜宮ノ下間では、車窓一面が真紅のモミジに包まれる“紅葉トンネル”が圧巻であるだけなく、夜にはライトアップ運転が実施され、光と影が織りなす幻想的な空間を楽しむことができます。
嵐電(京都)― 古都を照らす「もみじトンネルライトアップ」
京都のローカル電車・嵐電(らんでん)では、秋限定の特別運行として「もみじトンネルライトアップ」を開催しています。
沿線の木々が柔らかな光に包まれ、乗客はまるで光の森を抜けるような体験ができるのに加え、嵐山駅周辺には着物レンタルや和カフェも点在し、フォトジェニックなスポットとして人気です。
夜景列車の旅 ― 光の街を走る非日常
夜景をテーマにした列車旅も全国で注目を集めています。
函館の「夜景列車」は、車窓に宝石のような街明かりが広がり、神戸では港町の灯が車内に映し出されます。
九州の「ななつ星」や「A列車で行こう」では、ディナーや音楽を楽しみながら優雅な夜を過ごすことができ、鉄道旅の新しい形を感じられます。
紅葉×夜景列車を楽しむポイント
- 窓際指定席を予約し、車窓の眺めを独り占めする
- 昼と夜の両便を乗り比べて、光の表情の違いを味わう
- ライトアップ期間や紅葉の見頃を事前にチェック
まとめ ― 秋の鉄道が描く「一期一会の景色」
紅葉列車や夜景列車は単なる移動を超えた「体験型の旅」であり、窓の外に広がる風景が自然と人の営みを映し出します。2025年の秋、光と彩りに包まれた鉄道の旅で、日本の季節の美しさを再発見してみませんか。